バルサミコ
Balsamico

「イタリアの都市」へ

Balsamico  バルサミコ

2006年 11月

  バルサミコはイタリアを代表する調味料の一つで、日本ではバルサミコ酢とも呼ばれブドウを原料とした黒酢です。その始まりはモデナの王侯貴族の間でひそかに造られ、それぞれ秘伝の味があったと言います。最も古い記録では1046年にモデナの侯爵であるカノッサ家が、神聖ローマ帝国ヘンリー3世の即位に際しバルサミコを樽ごと贈呈したとあります。バルサミコは芳香油という意味の他に、鎮静剤や鎮痛剤という意味を持ち、薬用として評価の高いもので、また媚薬としても使用されました。17世紀には、うがい薬、強壮剤、養毛剤として用い、ペストなどの疫病に対する予防効果があるとされました。主な生産地はモデナとレッジョ=エミリアになり、製造方法は主にトレッビアーノ種を使い“バッテリアス”と呼ばれる木樽での熟成後、ビン詰めに至るまで法によって定められています。モスト(ブドウジュース)は銅の大鍋に移され、50〜70%になるまで煮詰められます。その後オークやクリなどのバッテリアスに詰められ、屋根裏などの冬には酷寒、夏には猛暑となる場所で寝かされます。この温度差がバルサミコにとって重要になり、ここでアルコール発酵が一年以上行われます。アルコールが酢酸発酵した後、6回から12回以上樽から樽へと移し替えられます。生産者は樽の種類や移し替えの回数を決め、それぞれの味わいのバルサミコを造ります。樽を作る木の材料はオークやクリ、サクラなどに限られ、大きさは50リットルから5リットルまであります。バルサミコは熟成期間が長くなれば長くなるほど、蒸発し濃縮されるので量が減り、それに合う樽へと移されるのです。上級のバルサミコ トラディツィオナーレ(伝統的)を名乗るにはこれらの作業の後、最低でも12年以上熟成をしなければなりません。その後生産者協会による90項目以上に及ぶ検査を経た後、100ccのビンに詰められ、その上にD.O.P.のシールを張り出荷されます。日本ではこの小ビンが1万〜3万円します。25年を経るとストラヴェッキオが名乗れますが、最終的に100キロのモストから1キロ弱しかバルサミコとならないため、非常に高価なものとなります。メーカーによっては50年、100年物も販売しています。バルサミコにはもう一つ、トラディツィオナーレの付かないタイプがあります。これは熟成期間の短縮と、ワインヴィネガーを50%まで加えることが許されており、カラメルやハーブ香辛料で色と香りの調節をします。その結果、価格が安くなるため様々な料理に使いやすく、レストランでは使用する際に、煮詰めて水分を飛ばして調節し、トラディツィオナーレに味わいを近づかせて使います。