チョコレート
Cioccolato

「イタリアの都市」へ

Cioccolato  チョコレートの歴史

2007年 3月

   チョコレートの成分であるカカオは学名テオブロマ カカオと言い、これはギリシア語で「神々の食べ物」を意味します。古来よりカカオをめぐる記述は多く、世界中の食文化に大きな影響を与えてきました。カカオの持つ高い栄養素は神から与えられた人への贈り物と考えられました。不思議なことに人以外のほとんどの動物はチョコレートを食べると中毒を起こし、死に至る事もあります。カカオの原産地はマヤやアステカになり現在の中央アメリカに位置します。紀元前2000年頃より栽培され、精力剤や病気治療、そして宗教儀式にも使用されていました。神秘性も含んだカカオは食物として以上の価値を持ち、時には貢物に用いられ貨幣としても流通したほど重要視されました。うさぎ一匹でカカオ豆10粒、奴隷一人につき100粒で取引されていた記録があります。当時のチョコレートは甘くなく、種を細かくつぶし薬草や唐辛子などと混ぜた苦い飲料でした。固形になったのは長い歴史を見るとつい最近のことです。その後この地がスペインによって征服されると、チョコレートの世界にも変化が訪れます。征服者達は戦利品であるカカオを手に入れると、それをヨーロッパへ持ち帰りました。そして砂糖やシナモン、バニラなどのスパイスを入れるなどの改良を行います。チョコレートは約百年間スペインでのみ飲まれていましたが、各国の王侯貴族の交流により徐々にヨーロッパ中に浸透していきました。当時チョコレートには媚薬効果があるとも考えられていました。17世紀にイギリスでチョコレートを飲ませるチョコレートハウスが開店し、たちまち流行飲料となります。男性がコーヒーハウスに足を運ぶのに対して、チョコレートハウスは女性に人気がありました。カカオの含まれているテオブロミンには利尿作用や筋肉弛緩作用の薬効があり、薬局でも販売されていました。最近では健康に良いと注目されているポリフェノールが含まれているため、カカオの比率の高いチョコレート商品が売られています。ただチョコレートはいつでも人気を保っていたわけでなく、コーヒーと同じで時には体に悪いものだと敬遠される時期もありました。これには科学的根拠は無く、習慣性があることと内から湧き出る何かしらの高揚感からそう思われたのです。19世紀に現在のチョコレートの原型を作る様々な発明がされます。まずオランダのバンホーテンがカカオからカカオバターを効率的に取る方法を発明。それまでのチョコレートは濃密で、水と共に飲まれていましたが、こうすることにより口当たりがよくなりました。これが現在のココアになります。次にイギリスで固形の板チョコが発売されます。こうして「飲む」のではなく、ようやく「食べる」チョコレートができたのです。その後スイスの蝋燭職人が口あたりをよりなめらかにする工夫を考え、ミルクチョコレートが発明されました。現在世界中で食べられているチョコレートの多くが、このミルクチョコレートになります。

Cioccolata  チョコレートの現況

2007年 6月

   こうして様々な国で食べられるチョコレートですが、もちろん国によって好みが変わってきます。フランスでは一口サイズで、洋酒やナッツを使ったチョコレートが人気です。イタリアではトリノを中心にチョコレート文化が浸透しました。香りや味わいが香ばしいものを好み、カカオ豆は少し深炒りします。そしてイタリアを代表する大衆チョコレートといえばヌテッラを外すことは出来ません。これはヘーゼルナッツを融合させたチョコレートクリームで朝食に欠かせません。イタリア人は子供の頃からこのヌテッラで育ち、好きなものの一番に「マンマ」、二番目に「ヌテッラ」が位置するほどです。ベルギーでは中に詰め物をしたプラリネが代表です。この国では生成過程において「100%カカオのチョコレート以外は禁止」となっています。厳しいルールを作ることによりベルギーチョコレートは最高級ブランドとしての品質を保っています。日本では明治から森永製菓が生産を始めて以来長く愛されてきました。最近はトリュフなどの高級かつ洗練されたチョコレートが人気を呼んでいます。ですがまだまだ日本人の消費量は本場欧米にかなわず、1位のドイツ人一人当たりの消費量約10kgに対して日本人は約2kgと5倍の差があります。カカオは元々中央アメリカ原産でしたが、その後アフリカや東南アジアにもたらされ、現在の生産国のトップはコートジボアール、ガーナ、インドネシアの順番で3カ国合わせると世界中の生産約70%を担っています。ちなみに日本に輸入されているカカオ豆の大部分がガーナ産になります。ただしこれらの国でのチョコレートの消費量は少なく、大半は欧米に輸出されその国で加工、消費または輸出されます。原料を作る国と消費する国が明確に分かれています。現在カカオの品種は大きく分けてフォラステロとトリニタリオの2つになります。またフォラステロ系のアリバ種は生産量こそ少ないですが、香り高い高品質の豆として重宝されています。そして同じ品種であっても、味わいは産地によって変わります。植物は土壌や気候などの環境により影響を受け変化していくからで、これはブドウにも同じことが言えます。チョコレートメーカーは自分達のスタイルに合うカカオ豆を選び、様々なチョコレートを今でも生み出しているのです。