チーズ
Formaggio

「イタリアの都市」へ

Storia del Formaggio  チーズの歴史

2005年 11月

   チーズは人類が作った最も古い食品と言われ、現在でも数多く様々な種類が作られています。チーズのことを調べれば調べるだけ幅が広く、なおかつ奥が深いことがわかります。チーズ起源の有力な説は、紀元前4000〜5000年頃にモンゴルや中東やインドなど、遊牧民が作ったと考えられています。古代エジプトの壁画やメソポミアの石版画にチーズ製造の絵が残っており、この頃から製造されていたと推測されます。ゾロアスター教の創始者ゾロアスターは、20年間チーズだけで生き、そのおかげで雄弁となりゾロアスター教を興したという逸話まであります。アラビアにはチーズ誕生にまつわる民話があります「昔々、砂漠を旅するアラビア商人は、羊の胃袋で作った水筒に入れた山羊の乳をラクダの背に積んで旅をし、夕方その乳を飲もうとしたところ、中から出てきたのは、透明な水と白い固まりで、おそるおそる口にしたところ、思いもよらない美味しさだったとか・・・」この白い固まりが実はチーズだったのです。この話を科学的に説明すると、羊の胃袋に含まれていた酵素が乳を固め、砂漠の熱い太陽とラクダの歩く振動によって脱水され、チーズの固まりができたのです。この原理は今のチーズ製造の基本となっています。ヨーロッパにもチーズが渡り、チーズ文化はヨーロッパで洗練されたと言えます。ホメロスの叙事詩オデッセイから、紀元前800年頃にはチーズがすぐれた食品であり、既にワインとチーズの相性の良さは知られていて、一緒に食されていたことが分かります。ギリシャ神話にフェタの記述があり、チーズケーキが食されておりウェディングケーキに使われていました。イタリアのパルメザン、ゴルゴンゾーラも紀元前1000年頃には存在していたそうです。古代ローマの兵士には、パン、ワイン、塩などの食料品と共にチーズが支給されました。そのため、ローマが砦を築いた土地では必ずチーズが作られたのです。こうしてチーズの製法がローマ帝国の拡大と共にスイス、フランスなどの国に伝わっていきました。インドでは、チーズとバターの中間の様なものが醍醐と呼ばれ、最高の味として仏典に登場します。現在使われている醍醐味という言葉もここからきています。仏教では釈迦が断食で衰弱していたところ、スジャータという若い娘がヨーグルトを与え、これを食べたら健康が回復し、明けの明星で悟りを開いたと言います。日本には仏教と共に蘇(そ)というチーズの原型が伝来し、貴族の間で健康食品として珍重されました。飛鳥時代の頃から作られ始め、天皇が諸国に蘇を献納するように命じています。しかし武家社会になり朝廷の力が衰えて牛馬が武器として使われるようになると、乳利用の文化も消えました。その後も「牛の乳を飲むと牛になる」といった迷信が根強く残っていましたが、明治時代に入りようやく庶民にも牛乳を初めとする乳製品が普及するようになったのです。日本でのチーズ文化はしばらく廃れていましたが、決して新しいものでなく昔には親しまれていたものだったのです。

Produzione del Formaggio  チーズの製造

2005年 12月

   チーズの歴史は長く、現在も親しまれていますが基本的な製造方法は昔とそれほど変わりません。世界中には800種類以上の様々なチーズが存在しそれぞれ個性を持っていますが、作り方は共通している部分がたくさんあります。それを見ながらチーズの作り方を説明していきたいと思います。その昔絞ったミルクは革や木の容器に入れられていましたがこうした容器には雑菌が付き、搾った乳はすぐに変質して酸っぱくなります。やがてこのミルクを濾過して、蛋白質の固まったカード(凝乳)と残った水分であるホエー(乳清)を分けフレッシュチーズの原型が誕生しました。こうした初期のチーズにはまだレンネット(凝乳酵素)が使われていなかったので、かなり酸味のきついものだったと思われます。レンネットにより紀元前3〜4世紀にはミルクが酸化しないうちに凝固させられるようになりチーズ作りは大きく進歩しました。カードを1cm角程度に切り撹拌しながらさらに温めホエーを除くとフレッシュチーズになります。その後熟成させることにより酵素等によって蛋白質や脂肪分が旨み成分であるアミノ酸や脂肪酸に分解し、フレッシュチーズにない風味、香り、色艶が出てきます。熟成に必要な期間は作るタイプにより異なり、ソフトタイプは短く、ハードタイプには2年以上熟成させるものもあります。熟成の間にリンドと呼ばれる固い表皮が出来てきますが、輸送や保存の便宜を考えて昔から、表面にワックスを掛けたり、灰を塗ったり、木の葉で被ったりといろいろな工夫がなされてきました。中世のヨーロッパでは、宗教組織が農業活動の中心的な役割を担っていました。有名なチーズの中には、起源が修道院にあるものが多くあります。中世後期から19世紀にかけて、チーズは二つの基本的なタイプに分かれて発展を遂げ、ヨーロッパの様々な土地で作られるようになりました。ハードチーズは、スイスの山岳地帯やイギリスの丘陵地帯で主流となり、ウォッシュや白カビのソフトチーズが、フランスの代表となりました。生産地の近くだけでなく国境を越えてまで取引されるようになり、チーズ作りの技法がさらに広まりました。1850年代、フランスの微生物学者、パストゥールが低温殺菌法を発見し、チーズ作りは大きく変わりました。それまでは絞ったミルクをそのまま使うため微生物が含まれており、注意を怠るとチーズがうまく作れないばかりでなく、食べた人が菌に感染する恐れがありました。そのためそれまでのチーズ作りは小規模でしか行えず、また多大な労働を必要とするものでした。しかし低温殺菌法によって広い範囲からミルクを集め大規模なチーズ作りが可能になりました。さらにこのころから、新たに開発されたスターターと呼ばれる乳酸菌の培養液が加えられるようになり、それまでよりも細かく製造工程の管理が出来るようになりました。しかし科学的技術を用いた大量生産形式の乳製品工場の増加は、伝統的手法を受け継ぐ生産者の減少に繋がりました。残念ながらこうしたことがチーズ全般の品質や個性の低下を招いたので、フランスやイタリアではワインと同じく原産地呼称を設けました。これは国が品質の保証をするとともに、模造品を認めないことを法律で定めたものになります。

Tiop di Formaggio  チーズのタイプ1

2006年 1月

   チーズとは、方法は何種類かありますが、基本的には乳の中の脂肪分と蛋白質を固めた食品です。つまり脂肪分と蛋白質が含まれている乳であればどんな乳からでもチーズを作ることができます。しかしある程度の量を集めることができる家畜乳という観点から、現在では原料となる乳は牛乳、山羊乳、羊乳がほとんどで、地域によっては水牛や馬、ヤクの乳も用いられています。また含まれる栄養分の組成や含有量は品種によって違いますし、同じ個体でも季節によって組成は変化し、えさによりビタミン含有量も左右されます。これらの条件が異なると、同じように作ったチーズでも微妙に味に変化が出てきます。また季節の点では、一般に夏の青草をえさとしている時期の乳の方がおいしいといわれます。チーズの原料である乳は、仔牛や仔羊が健康に成長するために必要な栄養素を含んでおり、チーズはこの栄養分を凝縮させた食物です。例えば水分含有量の多いカマンベール1個(250g)は約2.3リットル、超硬質タイプのパルミジャーノ・レッジャーノ1個(約30kg)は約500リットルの牛乳から作られています。どのようなタイプのチーズがあるのか見てみましょう。まずはフレッシュタイプから見ていきます。熟成をさせないチーズで非熟成タイプとも呼びます。水分が多く真っ白でほのかな酸味があります。基本的には日持ちがしないため早く消費され、ほとんどが生食するかお菓子作りの材料として使われます。原料乳に乳酸菌スターターを加えて少し発酵させ、次に乳を固める酵素剤レンネットを加え、これにより固まったカード(凝乳)からホエー(乳清)を除去するだけで出来上がります。これはナチュラルチーズ全般の最初の工程に共通しますが、フレッシュチーズの場合はこれで仕上がりとなり、熟成されることのない生のチーズです。チーズ作りの原点と言え、また昔から行われている製法ともいえます。次の軟質チーズはソフトタイプと呼ばれる短期間熟成させるタイプで、中身はペースト状の柔らかいものが多くなり、熟成は細菌と白カビによるものがあります。特有の強い風味を持ちますが、それは乳酸菌だけの働きにより熟成させるタイプとは異なり、土地の気候に適した熟成菌を用いるからです。このタイプに白カビチーズやウォッシュタイプがあります。白カビタイプはカマンベールチーズなどを代表とする表面が白カビで覆われたチーズになり、作る過程でカビの胞子を表面にスプレーします。チーズの原料は牛乳で熟成期間は他のタイプのチーズに比べると短く、多くはあまりクセがなく食べやすいチーズになります。熟成は外側から中心に向かって進み、若いうちは中央部に芯がありますが、完熟すると流れ出すほどやわらかく、クリーミーになります。ただし強い芳香が立ってくるので、好みに合わせて熟成の様子を見る必要があります。フランスのナポレオン1世は、カマンベール村のチーズを大変気に入り、その後これがカマンベールチーズとしてメジャーになったと言われています。またカマンベール療法というものがあり、人間の腸内にいる微生物群を消滅させるある種の抗生物質を飲み込むと同時に、カマンベールかブリーを食べる方法が行われました。

Tipo di Formaggio  チーズのタイプ2

2006年 2月

   ウォッシュタイプは外皮がオレンジ色で強い匂いが特徴です。製造方法は塩水やブランデー、地酒などでチーズの表面を熟成中に洗うタイプです。洗うことにより雑菌からチーズを守り、納豆菌の仲間であるライネンス菌の粘り気をとったり、中に塩分を浸透させたり、独特の風味付けをするのにも役立ち、その回数や時期、洗う液体の種類でチーズの個性が決まります。もともと中世の修道院で生まれたものが多く、匂いの強さから想像するよりあじわいはずっとやさしく、深いコクがあります。次はシェーヴルチーズです。フランス語で山羊乳製チーズのことを指します。牛乳から作るチーズよりも歴史が古く、牧草の少ない山岳地帯などで発達しました。山羊の乳は高地の栄養分の高い草を食べるので、質の良いたんぱく質でコクがあり風味もあります。様々な形をしたものがあり、小さな円筒形やピラミッド型、黒く灰のまぶしたものなど風変わりな形をしたものがあります。山羊乳独特の匂いを嫌う人もいますが、若いうちは酸味とクリーミーさがあり、熟成 するほどに酸味は和らぎ、コクやうま味が深まるなど、段階ごとに楽しめます。山羊は1〜3月に子供を産みその後7月頃まで乳を出します。旬は春先から秋にかけての季節です。羊タイプはミルクの脂肪分が高くて濃厚なことからチーズはねっとりとしてコクがあり、ほんのり甘みも感じられます。産地は比較的限られフランス南部のピレネーからイベリア半島にかけて、さらにコルシカ島、イタリア中南部、ギリシアになります。次に水分量の少ないハードタイプのチーズは半硬質、硬質、超硬質といった分類方法があります。半硬質チーズは数週間から数ヶ月に渡って細菌もしくはカビで熟成させるタイプで、種類が非常に多くプロセスチーズの原料にもなります。さまざまな種類があり、風味の変化も富んでおり、かなり嗜好性の強いチーズといえます。青カビチーズはチーズの内部に青カビが繁殖し、大理石模様のような様相でブルーチーズと呼ばれていますが、これもこの半硬質のグループのなかに含まれます。世界三大ブルーチーズとしてフランスのロックフォール、イギリスのスティルトン、イタリアのゴルゴンゾーラが有名で歴史も古いです。原料である牛乳や羊乳に、もしくはカードの中にペニシリオム・ロックフォルティなどの青かびの胞子を植えつけ、チーズ全体へと広がり発酵の過程を早め熟成を進めます。空気を送り込むために刺した針の跡が縦に走っているものもあります。この青かびはペニシリンを作るのにも利用され、中世にはこの青かびで傷の手当をしました。温度が10〜12度、湿度が95%の熟成室で4〜6ヶ月間寝かせ、その間に中身一面に青かびが広がりねっとりとしてきます。風味は塩気と乳源である動物の食べた牧草の香りが現れます。白カビチーズと違い中心部から熟成が進み外側に向かうほど熟成が遅れます。このチーズは塩分が強めなのでドレッシングやソースにも使われます。ちなみにフランク王国のカール大帝は青カビチーズが好物だったという話が残っています。

Tipo di Formaggio  チーズのタイプ3

2006年 3月

   硬質チーズは凝乳を細断、再加熱、圧搾により脱水度を高めて仕上げ、熟成室で半年くらいかけて細菌で熟成させます。発酵が乳酸によるものはガス孔がなく、プロピオン酸によるものはガス孔ができます。熟成は長期間に及び、一年以上かけることもあります。ナチュラルチーズの中では風味が最も安定しており、生産量も最も多く、プロセスチーズの原料として使われるのも、この硬質チーズに分類されるものが多いです。ナチュラルチーズの中でも最も組織が堅く、日持ちが非常によく、何年たっても風味が少しも変わらないとさえ言われ、山深い地方の冬場の保存食として重宝されていたそうです。そのため、腐敗しやすいミルクを腐敗しにくいチーズに変えた古代の遺産の姿が認められるともいわれ、全てのチーズの原点が見られると言われています。大型で保存性がよく熟成させるほどに旨味の増すものが多くあり、断面につぶつぶした旨味成分であるアミノ酸の結晶が見えるものもあります。超硬質チーズは非常に硬いため粉末状にし料理に用いられることが多いです。このタイプのチーズはイタリアに多く、パルミジャーノ=レッジャーノが有名です。最後はプロセスチーズの説明になります。ナチュラルチーズを数種類配合し味を整えてから溶融殺菌したチーズを指します。バリエーションは少ないですが風味が変化したり、カビが発生することも少なく保存が利きやすいです。このチーズはヨーロッパよりも日本やアメリカで多く作られています。プロセスチーズが食卓に登場したのは1920年代のことですから、ナチュラル・チーズに比べると歴史の浅いチーズです。作ろうとするチーズの味わいを考え、原料のチーズを選び、それぞれの風味、硬さ、脂肪含有量等を考慮して混合比を決定します。過熱して固めるタイプになることから細菌は死んでしまいます。いささか味わいは単調で個性が足りないともいえますが、肉やナッツ類などを混ぜ込み、香辛料で味付けをして全く新しい味を持ったチーズにすることもできます。ここまで長かったですが、まだまだ続きます。次号はイタリアチーズです。

Formaggio in Italia  チーズ イタリア

2006年 4月

   イタリアは、ヨーロッパチーズのルーツと言われおり、その歴史は古代ローマにまでさかのぼり、輝かしい伝統と歴史を誇るチーズの宝庫です。イタリアでは紀元前1000年頃、シルクロードを渡り、エトルリアと呼ばれていたトスカーナ地方へ伝わったチーズが人の手によって北イタリアのロンバルディア平原にもたらされました。今でも食されているパルミジャーノ レッジャーノやペコリーノがヨーロッパチーズの元祖と言われています。イタリアは南北にのび、その地形と変化に富んだ気候風土から、様々なチーズが各地で生まれ、チーズのタイプも北部と南部ではっきりと分かれます。冷涼な北部は牛乳製の濃厚で長期熟成型のチーズに富み、暑い南部は新鮮なうちに食べるフレッシュチーズや塩をきかせた硬質チーズが多く、羊乳・水牛乳製のチーズが中心となります。イタリアは原産地呼称D.O.P.があり、様々なチーズが法律により守られています。数多くありますが代表的なものを紹介します。「リコッタ」はチーズを作るときの副産物のホエーを再度(re)加熱(cotta)して浮いてきたタンパク質を集めて作ります。乳脂肪がほとんどなくコクはあるのにあっさりしていてほんのり甘味があります。パスタのソースやラビオリに入れるなど料理の使い道のほか、デザートにもよく使う用途の広いチーズです。「モッツァレラ」はもともとは水牛の乳から作っていましたが、水牛が減ったため大部分が牛乳か羊乳で作られています。引きちぎって作るので、ちぎることを意味するモッツァーレから名前がついています。基本的には10〜15cmくらいの丸い形でチリエージというさくらんぼ大のものもあります。水牛のモッツァレラは貴重でブッファラと呼ばれます。水牛は7世紀に十字軍によってインドより持ち込まれ、12世紀より水牛の乳をチーズに利用しだしました。現在でもカンパーニア州ラツィオ州の一部で造られています。日持ちが悪いですが白くミルクの風味にフレッシュさを感じるチーズです。ピッツァのほか、子牛肉でロールしてカツレツにしたり、トマトと一緒にスライスしてサラダにします。「ゴルゴンゾーラ」はアルプスの山地に近い北イタリア、ロンバルディア地方で牛乳から作られる3大ブルーチーズの一つと言われ、村の名が名前の由来です。甘味のあるものをドルチェ、辛味のあるものをピカンテといいます。料理用には主としてドルチェを使い、クリーミーで軟らかいチーズです。「ペコリーノ ロマーノ」はサルデーニャ島やラツィオ州で生産される羊乳の超硬質チーズです。ローマ帝国の栄えていた紀元前1世紀ころから作られていたという非常に古い歴史をもつチーズで塩辛く、少し刺すような辛味と独特の香りがあります。昔からローマ付近で作られていたのでロマーノの名前がついています。1年程度熟成して作られ、粉状や薄片にして使います。

Parmigiano=Reggiano  パルミジャーノ=レッジャーノ

2006年 5月

   イタリアの先住民であるエトルリア人が2000年も前から作っていたとされているこのチーズ。名前の由来は地名からきており、パルマ、レッジョ=エミリア、モデナ、などのエミリア=ロマーニャ地方で作られ、DOPの認定を受けたものだけがパルミジャーノ=レッジャーノを名乗ることができます。太鼓型をしたチーズの側面にはびっしりと「PARMIGIANO REGGIANO」と模様がされ、作られた年も刻印されます。また日本にあるパルメザンチーズはパルミジャーノの英訳ですが、アメリカ経由で粉チーズの形態として日本に入ってきたので、日本では粉チーズの総称として呼ばれるようになりました。パルミジャーノとは異なりアメリカ合衆国や日本などでも生産されています。ただし、これらはDOP規格からは外れているためEU諸国ではパルメザンチーズを名乗ることはできません。原料は前日に搾った牛乳を一晩置いて分離した乳脂肪分を抜いたものと、当日の朝搾った牛乳を混合したものを用い1日に1回だけ製造できます。製造工程は以前に説明した硬質チーズと似ていますが、約30kgあるこのチーズを一つ作るのに、カードは100kg以上になりおよそ600リットルもの牛乳を使います。超硬質のハードチーズとなり、アミノ酸が結晶して白い斑点ができます。この製造過程で出来る乳脂肪分はマスカルポーネなどの原料に使われ、ホエーはパルマ産生ハム用の豚の飼料になります。最低熟成期間は18ヶ月以上ですが、3年、4年のものもあり4年以上になると最高級品となります。熟成が完成する最後の段階では穴を開けて判断するのではなく、金属製のハンマーで叩きチーズの内部の組織、熟成の度合い、空洞その他の欠陥のあるなしを検査します。こうした欠陥があると、チーズを熟成に耐えられないチーズと認定されるため、生産者も早めに販売してしまいます。チーズは硬い外皮に覆われ、中はうすい麦藁色で切るとボロボロと砕けます。ヨーロッパチーズの原点とも言われ、現在も700年前と同じ伝統的な製法や道具を受け継いで作り続けられています。「パルミジャーノ=レッジャーノを知れば全てのチーズに通じる」とイタリアが誇るこのチーズはイタリアチーズの最高傑作と称され、その価値の高さからこれを担保に銀行からお金を借りることもできます。そのため銀行がチーズの熟成庫を持っているところもあり、そこではベテランの熟成士がチーズの熟成の管理をしています。