オリーヴオイル
Olio di Oliva

「イタリアの都市」へ

Olio di Oliva  オリーヴオイル1

2005年 2月

   イタリア料理と深い関係を持つオリーヴオイル。ヨーロッパではワインと同じで高価で貴重、また聖なる物として扱われてきました。このオリーヴオイルを3回にわたって見ていこうと思います。果実をつぶして搾るだけで作れるオリーブオイルは、人間が最初に手に入れたオイルで、その素朴な製法は何千年もの間ほとんど変わっていません。その原料であるオリーヴにまつわる話は、神話や伝説、そして聖書にも多くの場面で記述されており、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教など多くの宗教で聖なる油として大切に扱われています。「創世記」中の洪水が退いた後にノアの箱舟から飛び立った鳩が、大陸を見つけた証としてオリーヴの枝をくわえて戻ってきた話は有名です。この神がかった樹は、約7千年前から使われだしたと言われ、「平和と繁栄」のシンボルとされ愛されてきました。原産地とされているのはトルコ南部の地中海に面した地域で、もともとは地中海の東、トルコの東南からアフリカの東北沿岸にかけて、ごく一部の地域に自生していたと考えられています。そして6000年前のクレタ、キプロス、シリアで盛んにオリーブオイルが生産されていたことが記録に残っています。地中海の東部で始まったオリーブ栽培を西へ伝えたのはフェニキア人で、ギリシャ・南フランス・イタリアからシチリア・南スペインへと伝えられました。現在のように地中海全域でオリーブが栽培されるようになったきっかけはローマ帝国(紀元前3世紀)で、人口100万都市の規模を誇っていたローマの都では、食用・灯火・化粧品など生活のあらゆる場面でオリーブオイルが使われていました。そこで有力貴族たちは広大なオリーブ農園を経営し、オイルをローマに運びました。それにより地中海全域でオリーブが盛んに栽培されるようになったのです。日本の小豆島や、カルフォルニアでも生産されるようになってくるようになり現在オリーヴの品種は、世界で約500種類にものぼると言われています。ですが今でもオリーヴオイルの生産量の90%以上が地中海沿岸地域に集中しています。そして温暖で肥沃な大地であることから、イタリアは生産量そして品質共に世界一です。トスカーナへ行くと車窓から見事なオリーヴ畑を眺めることができます。

Olio di Oliva  オリーヴオイル2

2005年 3月

   歴史の古いこのオイルのもう一つの特徴的なところは、世界で唯一の果実から採れたオイルであることです。他のオイルは、例えば落花生、ヒマワリ、トウモロコシ、紅花、ゴマなどはすべて種子から取れたオイルです。ブドウから造られているワインと同じように、この果実からできたオイルであることから、産地によって味がまろやかであったり、強烈であったり、フルーティであったりとその個性が出てきます。イタリアでは北を除いた全域で造られ、オーストラリアなどの最近になって造られるようになった産地もあります。ではどのような地域がオリーヴの栽培に適しているのでしょうか。南北両半球の緯度にしてだいたい30〜45度の地域でオリーヴは栽培されています。温暖な地中海沿岸地帯はその気候がとても適しているといわれています。ピエモンテ州などの氷点下が長く続く土地では生育せず、雨がたくさん降るところもオリーヴには向きません。やせて乾燥した石がゴロゴロしているような土壌に育ちます。根は地中深くもぐっていて、を吸い上げるので、他の植物が育たないような荒れた土地にもオリーヴの木はたくましく成長します。そして造られるオイルの個性は産地によって変化し、イタリアではリグーリアからプーリアシチリアにかけて、デリケートな味わいから、力強いオリーヴオイルになる傾向があります。料理と共に発展し、今では産地の特徴を如実に表す食材の一つとなりました。そして最近になりオリーヴオイルはその風味や味わいだけではなく健康面でも世界的に、そして日本でも見直されてきましたが、それはどういったところであったのでしょうか。それは地中海式ダイエットから始まった、オリーヴオイルは油であるに関わらず脂肪分を分解する作用があるということでした。なぜイタリア人はあれだけの脂肪分を吸収しているのに成人病にかかりにくいのか?昔から言われてきましたが、科学の発達によりそれはオイルに含まれるオレイン酸の効用だとわかりました。こうして上質の味わいを持つだけでなく、体に優しくそして美容効果などを持つことが知られるにつれ他のオイルに比べるとオリーヴオイルは高価にもかかわらず、日本では年々輸入量、そして消費量が上がっています。残念ながら一時健康に良いといわれたワインの消費量は少しづつ下がるのに対して、オリーヴオイルは確実に浸透してきています。

Olio di Oliva  オリーヴオイル3

2005年 4月

   料理でのオリーブオイルの使い方は様々で、ドレッシングのようにオリーブオイルで和える場合、オリーブオイルを調理油として鍋などに引く場合、また揚げ物を使う際に使うなどいろいろあります。他にはバジリコを刻んでオイルと漬け込むジェノベーゼソースやサラミやドライトマト、アンチョビなどを漬け込みオイルの味わいをつけるだけでなく保存効果を高める使い方もあります。日本にもある塩漬けや、味噌漬けに似たところがありますね。ですがオイルもそのままではすべての使い方には向いていません。オリーヴオイルはエキストラヴァージンだけではなく、そこから 用途に合わせて様々なオイルへと加工します。ドレッシングや仕上げとしてかけるのであればエキスラヴァージンを使いますが、揚げ物や炒め物にはエキストラを精製したピュアオイルをやオリーヴの搾りかすで再度オイルを造った安価なサンサオイルなどがあります。厳密に言うとエキストラヴァージンにも各々個性の違いがあり、デリケートなタイプはお魚料理、そしてクセのあるオイルはお肉やしっかりとした味付けの料理に使います。辛味や苦味が強くナッツ香があるものからまろやかでフルーティなものまであるので、色々と味見をすると面白いかもしれません。イタリアではその土地で造られたオイルはそこの料理と相性が良いとされています。ちなみに資料文献によると、現代では約100kgのオリーブの実から約20kgのオリーブオイルが摂れるそうです。個性を尊重しつつ上質のオイルを造る意識は生産者の中にも生まれ、昔に比べるとこの数年は年々品質が高まってきています。最近ではD.O.P.というワインのD.O.C.のように原産地呼称の法律ができ、コメントや点数を載せたエキストラヴァージンオイルのガイドブックも毎年発行されるようになったことは、いかにオイルが市場や消費者から期待され、生産者がそれに応えていけるようになったかがわかります。きっとこのオイルに対する意識の流れはアメリカや日本でも高まりつつあると思います。