
有機ワイン
2006年 6月
ここしばらく野菜などの農作物に対して消費者の意識が変わってきました。安いものだけでなく安全で健康、おいしいことから値段は上りますが、有機農法や無農薬栽培の食品が注目を集めています。この流れは農作物であるブドウから造られるワインにも同じことが言えます。これを有機ワイン、もしくはビオワインと呼びます。最近のワイン業界ではしばしばこの名前を耳にすることが増えました。ではビオワインとはどういったワインなのでしょうか?「ビオ Bio」とは英語のバイオを指し、生物の、生体のという意味を持つフランス語になります。大事なことは有機農法を用い、出来る限り科学的な物を添加しない自然なワインを目指していることです。法律では化学肥料や農薬を使用せず、病気や害虫に対しては出来る限り自然な薬剤を使用し有機肥料はEUが認定したものを使う。そして酸化防止剤の使用上限について記されています。ヨーロッパには様々なビオワインの認証団体があり、こういった法律などをクリアしたワインをビオワインとして認定します。ビオワインはこうした厳しい条件の中で造られるため、まだまだ生産者の数は少ないです。造られだした頃のビオワインは茶色で酸化香、酸味のきついものが多く人気がありませんでした。消費者も「ビオワインだから仕方が無い。」として別のワインと見なしていました。今でもそういう認識をしている人は多いと思います。確かに現在も市場に出回っている大部分は味わいとして未熟なものが多いのが現状です。ですがほんの一握りですが最高のビオワインを造っている生産者があります。最初の頃は一部の愛好家だけで飲まれていましたが、現在では広く知られるようになりました。生産者だけでなくワインバーや輸入元もビオワイン専門の業者があり、これからワインを語る上で決して無視できないほどになりました。ワインを飲みなれた人ほどビオワインの味わいに驚くと思います。今までのどのワインのタイプとも異なりワインが自然に体に入っていくのを感じます。この新しい流れはこれからのワインの世界の一つの可能性だと思います。
ビオディナミ
2006年 7月
ビオワインは2つのカテゴリーがあり、一つは「ビオロジック」、そしてもう一つはビオロジックを発展させた「ビオディナミ」に分類できます。ただし同じビオワインという名称から分かるように、どちらも自然に栽培したブドウを使い、自然に造ったオーガニックワインであるということです。栽培に関しては鶏糞などの有機肥料を使い、人工酵母でなく、ブドウについている自然酵母の使用、ブドウの病気対策に非加熱の新鮮な牛乳や山ごぼうを煎じたお茶を散布するなど生産者によって様々な工夫がされています。土中のバクテリアや微生物などさまざまな要素も、味に重要に携わっていると考えられており、畑を出来る限り自然の状態にし、よりその土地のテロワールの個性を引き出そうとしているのです。こうしてビオワインは造られるわけですが、これらの要素がワインにどのような影響を与えるのでしょうか。ビオワインは過剰な色素抽出がされないため、色が薄いことが多く、またフィルターを通さないことが多いため、濁っている物をよく見かけます。味わいは色からは想像できない程、相当に複雑かつ凝縮された味わいで、こぶ茶や干しシイタケのような旨味を感じ、普段私達が口にするワインとタイプが明らかに異なるため、好みが分かれるところです。ビオディナミは、ビオロジックの取り組みに加え、1924年にルドルフ・シュタイナーが説いた植物と天体の関連を体現した農法を指します。ビオディナミでは畑を取り巻く生態系を最も重視し、自然界に存在する物質を合わせた調剤を使用して土壌や葡萄樹の能力を引き出すとしています。例えば牛の角に牛糞を詰め冬の間土中で寝かせたものや、水晶を砕いて粉状にし牛角にいれて寝かせたものを希釈して肥料として使用します。このほかにもアキレーの花を鹿の膀胱に入れ吊るすことで、花の持つ硫黄が土中のカリウムを呼び起こして植物の活性化を促すといったものもあります。こうした農作業や剪定の日などは、すべてビオカレンダーと呼ばれる物に基づいて行われ、月の様相や公転面の昇降、太陽における地球の公転面の昇降における気圧や引力、潮力の影響など、天地占星的な要素を多分に含んでいます。ただし現代人には理解しがたい点が多く、迷信として捕らえられることも多いです。ですがこの一つの哲学は少しずつ浸透し、今日では実践する生産者も増えてきています。